【8月1日 AFP】仏製薬大手サノフィ(Sanofi)と英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン開発費として米政府から最大21億ドル(約2200億円)を受け取ることが分かった。両社が7月31日に明らかにした。欧州連合(EU)も、サノフィがワクチン開発に成功した場合、3億回分の供給を受けることで合意したと発表している。

 米国はサノフィとGSKが開発するワクチン候補を、大量のワクチンの早期確保を目指す開発支援策「ワープスピード作戦(OWS)」の対象に選定した。

 サノフィとGSKは、ワクチンの臨床試験(治験)を9月に開始するとしている。同ワクチンについては、今年末まで最終段階となる第3相試験が進められる。

 サノフィとGSKは、「良好なデータが得られれば、2021年上半期に米国の承認申請にこぎ着けられる。同時に、抗原とアジュバント(免疫で抗原性を高める物質)の製造を増強し、世界で年間最大10億回分の接種量のワクチンを生産する予定だ」としている。

 米国は3月以降、米医薬品大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)とファイザー(Pfizer)、英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)などの製薬大手とのワクチンプロジェクトに約60億ドル(約6300億円)を拠出すると発表している。

 製薬会社は、ワクチン開発の初期段階を早めて生産設備の準備を進めるとともに、ワクチン候補が失敗に終わっても資金不足に陥る心配をしなくて済むだけの資金を必要としている。一方の各国政府は、資金を提供した見返りとして有効なワクチンをなるべく早く入手したいと考えている。

 しかし、各国政府と製薬大手のこうした取り決めは、資金のない貧困国を置き去りにしているとの批判も招いている。(c)AFP/Mariëtte le Roux