【8月1日 AFP】ナイジェリアのイスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」の戦闘員らが7月31日、チャド湖(Lake Chad)周辺の村を襲撃し、少なくとも10人の民間人を殺害、7人を拉致した。軍の将校と地元の当局者が明らかにした。

 匿名を条件にAFPの取材に応じた軍の将校は、31日午前3時(日本時間同日午後11時)ごろ、ボコ・ハラムの戦闘員らが村を攻撃し、女性2人と男性8人を殺害と説明。さらに男性7人を拉致し、村を略奪して火を付けた後に引き揚げたと述べた。

 チャド湖はニジェール、ナイジェリア、カメルーンの国境付近に位置し、島々が点在する湿地帯で、ナイジェリアを越境してきた戦闘員らの襲撃が相次いで発生している。

 ボコ・ハラムは2009年、ナイジェリア北東部で武装蜂起し、これまでに3万6000人以上が死亡し、200万人以上が避難を余儀なくされている。同組織は襲撃の範囲をニジェール、チャド、カメルーンにも広げ、3月には同湖畔にあるチャド軍基地で98人の兵士を虐殺。同軍の部隊が一日で最多の犠牲者を出す事態となった。

 この襲撃を受け、チャドのイドリス・デビ(Idriss Deby)大統領は3月31日から4月3日にかけて攻撃を実施し、最終的にチャド湖地域には「(ボコ・ハラムの)戦闘員は一人も残っていない」と宣言したが、散発的な暴力沙汰は続いている。(c)AFP