京都産業大学生命科学部 横山謙教授らの研究グループは、クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析により、回転分子モータータンパク質である液胞型プロトンポンプタンパク質(V-ATPase)の機械的な活性調節機構を明らかにした。




 ヒトの細胞の中には、イオンの流れで生じた回転力を利用して生命のエネルギー通貨であるATP(アデノシン三リン酸)の合成もしくは加水分解や、反対にATPを燃料として回転し、細胞膜部分でイオンを輸送する回転分子モータータンパク質が存在する。その1つである「V-ATPase」は、細胞内の栄養状態が悪くなり、ATPの分解を抑制したほうが良い時に、V-ATPase内でプロトン(水素イオン)が漏れないような仕組みが働くことが知られていたが、その分子構造はよく分かっていなかった。

 今回、京都産業大学生命科学部 横山謙教授らの研究グループは、クライオ電子顕微鏡を用いて、V-ATPaseの全体構造とV-ATPase内でプロトンの輸送に携わるV0部分の詳細な構造を明らかにした。さらに、ATPの分解を抑制する際、V0部分が大きく構造変化することで回転を阻害するという機械的な活性調節機構を明らかにした。

 V-ATPaseは、リソゾームやエンドソームといった酸性オルガネラ小胞の膜に存在し、小胞内にプロトンを輸送することで、タンパク質の品質管理や神経伝達、免疫反応などを支える最も重要なプロトンポンプタンパク質である。V-ATPaseの活性調節機構の一端が明らかになったことで、酸性オルガネラが担うタンパク質の品質管理などの仕組みに関する一層詳しい理解が期待できるとともに、アルツハイマー病などタンパク質の品質管理の破綻が原因で発症するアミロイド病の理解への貢献が期待できる。

 この研究成果は、2020年7月7日に電子版オープンアクセス科学雑誌「eLife」に掲載された。


むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学


<関連リンク>
・液胞型のプロトンポンプタンパク質(V-ATPase) の機械的な活性調節機構を解明
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20200710_400a_thnews.html
・京都産業大学 生命科学部 横山 謙 教授
 https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/professors/ls/yokoyama-ken.html
・京都産業大学 生命科学部
 https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/ls/index.html


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