【7月31日 AFP】イタリア上院は30日、極右政党「同盟(League)」党首のマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)上院議員の不訴追特権の剥奪を、賛成149、反対141、棄権1の賛成多数で可決した。サルビーニ氏は、内相在任時に移民の上陸を阻止した決定の違法性をめぐり、再び刑事責任を問われることとなった。

 イタリアでは上院が不訴追特権を無効としない限り、閣僚経験者が在職時の行為の責任をめぐって裁判にかけられることはない。

 サルビーニ氏は内相を務めていた2019年8月に、地中海で慈善団体オープン・アームズ(Open Arms)の船に救助された移民80人余りのイタリア上陸を阻止したことについて、シチリア(Sicily)州の州都パレルモ(Palermo)の検察当局から職権乱用で違法だと指摘されている。

 有罪なら最長で禁錮15年の判決が下り、サルビーニ氏の政治生命は断たれる可能性がある。

 しかし、サルビーニ氏は不訴追特権の剥奪が決まった後も挑戦的な姿勢を崩さず、「イタリアを守ったことを誇りに思っている。同盟が連立与党に参加すれば、また同じことをするだろう。(イタリアに)上陸した(移民の)人数は、前年同期の6倍に上っている」と議場で語った。

 サルビーニ氏は昨年7月に伊沿岸警備隊の船舶「グレゴレッティ(Gregoretti)」号からの移民下船を阻んだ問題でも罪を問われており、今年2月に上院がこの件についてサルビーニ氏の不訴追特権を剥奪している。予審は新型コロナウイルス流行の影響で3回延期され、10月3日にシチリアで開かれる予定。(c)AFP/Ella IDE