【7月31日 AFP】ベラルーシの首都ミンスクで30日、強権体制を敷くアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領の対立候補として大統領選に立候補したスベトラーナ・チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏(37)の選挙集会が開かれ、野党への弾圧が強まるなか数万人の支持者が集まった。

 2児の母で専業主婦だったチハノフスカヤ氏に政治経験はないが、ミンスクの広場に大勢の支持者が詰め掛けた。現場で取材したAFP記者によると、ベラルーシでは過去10年で最大の野党集会だったとみられる。

 ベラルーシの人権団体「ビアスナ(Vyasna)」は、少なくとも6万3000人が集会に参加したと述べた。

 ベラルーシ当局は30日、8月9日に予定されている大統領選を前にロシアの傭兵(ようへい)と共謀して大規模な騒ぎを起こそうとしていた疑いがあるとして、チハノフスカヤ氏の夫で政権に批判的なブロガーのセルゲイ・チハノフスキー(Sergei Tikhanovsky)氏(41)と、著名な評論家ミコラ・スタトケビッチ(Mikola Statkevich)氏(63)の2人を拘束した。

 前日の29日にはベラルーシの不安定化を画策した容疑でロシア人傭兵33人の身柄が拘束された。当局によると、33人はロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と近しい人物が管理しているとされる民間軍事会社ワグネル(Wagner)のメンバーだという。ワグネルはウクライナやシリア、リビアでロシア政府のために暗躍しているとみられている。

 今回の大統領選では、複数の主な野党候補が拘束されたため、チハノフスカヤ氏がルカシェンコ大統領の有力な対立候補として浮上した。チハノフスカヤ氏は、野党勢力がロシアと協力して騒ぎを起こそうとしたことはないと主張している。

 ロシアとベラルーシは政治・経済的に密接な関係にあるが、両国関係はここ数年緊張している。ロシアとの関係をさらに密接にするよう圧力をかけられているルカシェンコ大統領は、ベラルーシのロシアへの併合は明確に否定している。(c)AFP/Tatiana Kalinovskaya