【7月31日 Xinhua News】中国で新型コロナウイルスの感染が拡大した今年初め、中国医学の煎じ薬「清肺排毒湯」に注目が集まった。

 中国医学では、体内の水の循環が滞って老廃物がたまった「痰湿」の状態が、呼吸器疾患など多くの病気の原因になるとされている。

 気象記録によると、湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)は昨年12月、比較的暖かい雨の日が多く、今年1月は霧雨がほぼ16日間続いた。

 同市では重症患者と軽症患者の全員に中国医学で痰湿の兆候とされる舌苔(ぜったい)が見られた。中国医学の専門家は、新型コロナウイルス感染症が寒さと湿気に関連した病気との認識で一致している。

 中国医学の目的はウイルスを殺すことではなく、体内のバランスを回復して身体を元気にし、ウイルスを追い払うことにある。だから中医薬に微生物の成分が入っていなくても重い病気が治療できる。

 河北省(Hebei)では、ある重症患者が清肺排毒湯を1回服用しただけで熱が下がり白血球数が正常値に戻った。山西省(Shanxi)では、複数の患者が清肺排毒湯を3日間服用したところ、核酸検査で陰性になった例もある。

 清肺排毒湯は比較的安価であり、新型コロナウイルス感染症の治療費を支払う地方政府の負担を軽減している。3日分の費用は100元(1元=約15円)足らずだ。

 中国では清肺排毒湯の効力をエビデンスに基づいて証明すべく研究が行われている。

 中国科学院大連化学物理研究所などは、清肺排毒湯に含まれる21種類の生薬のうち16種類が肺に効果があり、他の生薬が心臓、肝臓、脾臓(ひぞう)、腎臓を保護する働きを持つことを解明した。この研究で清肺排毒湯は新型コロナウイルスの感染から複製までの全段階だけでなく、複数の臓器が損傷した後でも効果があることが分かった。(c)Xinhua News/AFPBB News