【7月30日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は30日、ツイッター(Twitter)への投稿で、新型コロナウイルスの流行を受けた投票方法の変更が「不正」につながるとの懸念を理由に、大統領選の延期を提案した。ただ、この提案は民主党だけでなく共和党からも批判を浴びており、実現する可能性はなさそうだ。

 トランプ氏は現在、世論調査の支持率で野党・民主党の対立候補ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領に大きく引き離されている。

 トランプ氏はツイッターに、「誰もが郵便投票(不在者投票とは違う。不在者投票は大丈夫だ)ができる2020年(の選挙)は歴史上最も不正確で不正なものとなる。米国にとって大きな恥だ。人々が適切、確実、安全に投票できるまで選挙を延期しては?」と書き込んだ。

 投票日は法律で11月3日に定められており、変更する権限は連邦議会のみが有している。連邦議会では民主党が下院の過半数を確保しており、投票日が変更される公算は非常に小さいが、現職の米大統領が大統領選の延期に言及するのは極めて異例だ。

 今年の米大統領選では、新型ウイルスの感染防止策として郵便投票の利用が拡大する見通し。米国では既に一部の州で郵便投票が普及している。郵便投票が使用された場合を含め、米国の選挙で大規模な不正行為が起きていることを示す証拠は存在しない。

 米政府はトランプ氏のツイートの直前、4~6月期の国内総生産(GDP)が年率換算で前期比32.9%減と過去最悪の落ち込みを記録したと発表していた。

 民主党全国委員会(Democratic National Committee)は声明で、トランプ氏の投稿は「新型コロナウイルス対策での自身の失敗が米経済に大打撃を与えたことをはっきりと示したきょうの壊滅的な経済統計から注意をそらす必死の試み」だと指摘。「トランプ氏は、何でも好きなことをツイートできる。だが、選挙を延期させることはできないのが現実だ。そして11月になれば、有権者がトランプ氏の責任を問うだろう」と続けた。

■共和党も「ノー」

 米議会では下院で多数派を占める民主党だけでなく、上院で過半数を占める共和党もトランプ氏の提案に直ちに反対を表明しており、大統領選が延期される見込みはほぼない。

 ミッチ・マコネル(Mitch McConnell)共和党上院院内総務は「米国史上、戦争や恐慌のさなか、それこそ南北戦争中でさえ、大統領選が連邦法で定められた期日通りに行われなかったためしは一度としてない」と地元ケンタッキー州のテレビ局WNKYの取材に強調した。

 また、トランプ氏の盟友とされる共和党のマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員は、提案について意見を求められ、「あんなことを言わなければよかったのに」と答えた。(c)AFP