【7月31日 Xinhua News】中国の顔認証技術がアルゼンチンの新型コロナウイルス感染症対策に活用されている。社会的距離(ソーシャルディスタンス)の維持やマスクの着用を促すとともに、公共交通機関の乗車前に検温を実施し利用客の安全を確保する。

 アルゼンチン運輸省はこのほど、新アルゼンチン国鉄の旅客部門を通じて、首都ブエノスアイレスの主要通勤路線、ミトレ線の改札口に顔認識技術を搭載した赤外線カメラを導入、約2週間の試験運用を開始した。

 赤外線カメラは、中国の監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)が提供する顔認識技術を採用しており、1・8メートル離れた位置から検温が実施できる。また、画像解析によってマスク着用の有無も判別できる。

 利用者が発熱しているかマスクを着用していない場合、改札機は開かない。また、発熱している人がいれば監視センターに画像を送信して通知し、その人物を追跡することも可能となっている。

 アルゼンチン政府は、15日間の試験運用後は他の通勤路線にも同技術を導入することを目指している。

 ブエノスアイレスの公共交通網は、さまざまな医療・衛生措置を導入しており、この顔認識技術もその一環。同市の公共交通機関は現在、社会生活を支える上で不可欠な仕事をする「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる人々だけが利用できるようになっている。

 ハイクビジョンは、世界150以上の国と地域で事業を展開し、約2万5千人の従業員数を雇用している。同社の従来の事業は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により打撃を受けたが、新型コロナによるさまざまな課題に自社の技術を調整し応用することで収益が回復した。

 アルゼンチンは感染症対策として、ブエノスアイレス市内のバスにも中国の監視カメラ大手、浙江大華科学技術の赤外線カメラを導入している。(c)Xinhua News/AFPBB News