【7月30日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権は29日、西部オレゴン州ポートランド(Portland)に投入した連邦治安要員を撤退させ、数週間に及ぶ衝突の鎮静化を図ることで州政府と合意に達した。ただ、撤退時期については双方の主張が食い違っている。

 ポートランドでは人種差別と警察の過剰な力の行使に抗議するデモが数週間にわたって続き、裁判所など連邦機関の建物が落書きされたり窓ガラスを割られたりする被害が出ている。こうした事態を受け、トランプ政権は今月、迷彩服を着用した連邦部隊を現地に派遣し介入させた。

 これは、11月の大統領選での再選を期して「法と秩序」を前面に押し出すトランプ氏の戦略だと広く受け止められている。

 ところが、これがデモ参加者のさらなる怒りを招くこととなった。特に、路上に展開するデモ参加者を連邦要員がさらうように所属不明の車に押し込んで連れ去る動画が拡散したことなどから、ポートランドの状況は悪化していた。

 オレゴン州のケート・ブラウン(Kate Brown)知事は、30日から連邦要員の段階的な撤退は始まると発表。マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領らと協議した結果「連邦政府は、ポートランドからの連邦要員の撤退に合意した」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 その上で、派遣された連邦要員について「占領軍のように振る舞い、暴力をもたらした。全ての米税関・国境警備局(CBP)と移民税関捜査局(ICE)の全要員は、明日から市中心部を離れる」と続けた。

 だが、チャド・ウルフ(Chad Wolf)国土安全保障長官代行は、地元警察が連邦裁判所などの安全を確保できると保証されない限り、連邦治安要員はポートランドに残ると強調。撤退時期については明確にしなかった。(c)AFP/Javier TOVAR