【7月30日 AFP】ジンバブエ政府は29日、2000年に当時のロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領政権によって農地を接収された白人の農業経営者らに対し、米ドルで補償金35億ドル(約3700億円)を支払うことで合意した。

 ムガベ前大統領は、白人の大規模農業経営者4500人から4000か所超の農場を強制収用し、土地を所有していない黒人の人々に再分配した。

 今回の合意に基づき、接収された農場の家屋やかんがい装置といった建造物が補償の対象となる。ただ、ジンバブエ政府は財政難で補償金を支払う資金がないため、農家と寄付者でつくる委員会が資金調達を担うという。

 ムガベ政権が2000年に導入した土地改革は、物議を醸した。この改革に基づき、与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)の活動家と、1970年代の独立運動に参加した元戦闘員らが大規模な農地接収を実施。ムガベ氏は、黒人から強制的に奪われた土地を取り戻し、歴史の過ちを正す方法だと主張して、接収を正当化した。

 だが、この土地改革によってジンバブエの主要産業である農業は大混乱に陥ったとの批判もある。農地接収後、ジンバブエの経済生産は半減し、景気は今も低迷が続いている。(c)AFP