【8月4日 AFP】大会最終ホールのグリーン上でハ・キウォン(Ha Ki-won)は、慎重にスタンスを取ってアドレスした――。優しく放たれたボールが前に転がり、目の前でカップの縁を回って音を立てながら吸い込まれると、拳を突き上げた。優勝したハは、賞金2000万ウォン(約177万円)の小切手を手に入れた。

 しかし、ボールはカップの中ではなくカーペットの上に置かれたままだ。これは韓国で開催されたプロのスクリーンゴルフ大会。主催者によると、この形のツアーは世界で唯一だという。

 38歳のハにスクリーンゴルフは競技で生きていく道を与えた。17歳で初めてクラブを手にしたハは、韓国プロゴルフ協会(KPGA)のツアーで2部まではたどり着いたが、トーナメントプレーヤーにはなれずじまいだった。

 しかし、スクリーンゴルフではこれまで5勝を記録。2017年からは実際のゴルフの道を諦め、スクリーンゴルフだけに専念してきたハは、「今は巨大スクリーンの前の方が落ち着く」と話す。

 大会では実際のコースと同様、選手は複数のグループに分かれ同時進行でラウンドを消化し、交互にショットを放つ。しかし屋外のコースのように次のライに向かって歩くのではなく、選手は横5.8メートル、縦3メートルのスクリーンの前に立ち、次の一打を打つ。

 床と天井に設置されたセンサーがインパクト後のボールの軌道をたどり、その行き先をバーチャルコース上に投影する。

 国内で1300以上の施設を保有する同国最大のスクリーンゴルフ運営会社のゴルフゾン(GOLFZON)は、2012年にツアーを創設。年間7大会を行い、11月に開かれる最終戦の優勝賞金は1億5000万ウォン(約1300万円)となっている。

 韓国中部・大田(Daejeon)で今月開催された大会には130人が参加し、うち8人はKPGAツアーの1部でプレーするプロ選手だった。