【7月30日 AFP】イエメンの南部分離独立派「南部暫定評議会(STC)」は29日、同国南部における自治宣言を撤回し、頓挫していたサウジアラビア仲介の和平合意を履行すると発表した。反政府武装勢力フーシ派(Huthi)との紛争で共闘関係にあった暫定政府との亀裂修復を目指す動きとなった。

 STCは4月、暫定政府がその義務を履行せず南部の大義に対して「陰謀」を企て、紛争で荒廃したイエメン情勢を悪化させていると非難し、自治を宣言していた。

 かつては同盟関係にあったSTCと暫定政府が決裂したことで、サウジ主導の連合軍とイランが支持するフーシ派による長期紛争はさらに混迷。フーシ派は、首都サヌアを含むイエメン北部の大部分を支配している。

 STCの報道官は、「リヤド合意(Riyadh Agreement)」と呼ばれる権力分担協定を履行していけるよう、「自治宣言を撤回する」とツイッター(Twitter)で表明した。

 同報道官は、サウジとアラブ首長国連邦(UAE)から自治宣言を撤回するよう圧力を受けたことを認めている。

 STCの発表に先立ち国営サウジ通信(SPA)は、サウジ政府がリヤド合意の履行を「促進する」計画を提案したと報じていた。

 この計画は、イエメン首相が30日以内に新政府を発足させることと、暫定政府が拠点としていた同国第2の都市アデン(Aden)に新たに知事と警察署長を任命することを求める内容となっている。

 実現すれば、サウジ主導の連合軍とその共闘勢力は、共通の敵であるフーシ派との戦いに再び集中することが可能になる。

 フーシ派は現在、政府勢力に対して再び攻勢を強めており、長引くイエメン紛争には終わりが見えない。

 同国では、国連(UN)が「世界最悪の人道危機」とみなすこの内戦で、民間人を中心に数万もの人が犠牲となり、数百万人が避難を余儀なくされている。(c)AFP/Anuj Chopra with Omar Hassan in Dubai