【8月4日 東方新報】中国を代表する思想家・孔子(Confucius)の生誕地・山東省(Shandong)の重点演芸プロジェクト、大型話劇『孔子』のリハーサル開始式が先月21日、山東省話劇院で行われた。古代中国の思想家であり教育者であり音楽家で儒学の創始者である孔子の苦難に満ちた生涯を描くことに力点をおきつつ、儒学思想の根源を反映した詩劇スタイルの舞台作品だ。

「中国障害者芸術団」の監督で代表作『千手観音』でも知られる張継鋼(Zhang Jigang)監督率いるチームが2年以上かけて制作にあたった。


 張監督によれば、この作品は会話劇を主としながら、音楽、舞踊、美術、衣装、照明、小道具などの要素を含む総合的な詩劇という。独特の構成とシュールレアリスムの手法で、「君子」「進退」「為政」「去国」「見南子」「困境」「渡河」「彼岸」の八幕を構成。思弁の美、広量の美、空霊の美、意象の美の表出をねらいとしている。

「現代人は孔子の思想、語録については比較的理解しているが、孔子がどのような人生経験と事績をもっているかは決してはっきりと知っているわけではない」と張監督は言う。春秋末期の群雄割拠時代の歴史を背景に、激変する社会の中で英雄たちがどのような人生選択を行ったかを描きつつ、終始理想を追い求め続け、「其の不可なることを知りて而もこれを為す」の境地にたどり着いた孔子への礼賛をこめて、高大(こうた)にして素朴で、威厳を持ちながら身近である中華民族に2500年以上も影響を与え続けてきた、その「聖なる先駆者」の輝かしい姿を浮き彫りにしている。

 張監督によれば、孔子は山東省だけでなく中華民族の、そして世界の文化遺産だという。このため「孔子」をうまく演繹(えんえき)するには、春秋期の言語、当時の文化と現代の差異や、春秋末期の秩序が乱れた社会の中での孔子の多難な経験と、司馬遷、孟子ら後世の人たちの孔子に対する評価という歴史上の整合性、顔回ら史書にある実在の人物象と物語の中の虚構の人物象という虚実関係、考古学者と芸術家の目から見た孔子象の違い、話劇と詩劇の関係、人と聖人の関係といった七つの大きなテーマをきちんと整理する必要があったという。

 このため、この舞台製作チームは事前に膨大な調査研究を行い、歴史資料、映像資料を読みあさり、台本を5回書き直したという。山東省文化旅游庁の張鯤(Zhang Kun)副庁長は「この話劇は、着想から現在にいたるまで2年以上を要した。ようやくリハーサルにこぎつけた」という。山東省としては、この話劇「孔子」を、山東省芸術を代表する傑作舞台に仕上げ、山東省の文化ブランドイメージをさらに構築していきたい考えだ。(c)東方新報/AFPBB News