【7月29日 AFP】シンガポールの裁判所は29日、「建国の父」と呼ばれるリー・クアンユー(Lee Kuan Yew)初代首相の孫で現首相のおいに対し、親族間の争いの最中に司法制度を批判するフェイスブック(Facebook)投稿を行ったとして、法廷侮辱罪で有罪判決を言い渡した。

 米ハーバード大学(Harvard University)の研究員であるリー・シェンウ(Li Shengwu)被告は2017年に、シンガポール政府は「訴訟を非常に好み、従順な司法制度を持っている」と投稿していた。

 この投稿をめぐり、最高裁判所の高等法廷はシェンウ被告に対し、1万5000シンガポール・ドル(約110万円)の罰金を科した。支払いに応じなければ、被告は米国在住とはいえ禁錮7日に処するとしている。

 シェンウ被告は事業家リー・シェンヤン(Lee Hsien Yang)氏の長男。シェンヤン氏は、父クアンユー氏の遺産をめぐり、兄のリー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相と対立している。

 2015年にクアンユー氏が亡くなると、一族の確執が明らかになった。シェンウ被告の問題の投稿も、この争いの中で行われた。

 検察庁は、被告の投稿は「シンガポール司法に対する悪質かつ根拠のない攻撃」だとして、侮辱罪で訴追していた。

 シェンウ被告は29日、裁判所の判断に「異議を唱える」とフェイスブックに投稿。その上で、今回の判決により、与党・人民行動党(PAP)の「正規の政治的発言を抑圧する傾向」が強まる恐れがあると懸念を示した。(c)AFP