【7月28日 CNS】中国貴州省(Guizhou)の省都・貴陽市(Guiyang)から車で2時間半ほど離れた独山県(Dushan)が、「歳入40年分の借金」を抱えていることで話題となっている。県の歳入は10億元(約150億円)未満なのに対し、36もの金融機関から借りた金額は400億元(約6031億円)。県のトップだった潘志立(Pan Zhili)前県委書記が採算に合わないビッグプロジェクトを次々と打ち出したことが原因で、収賄罪や職権乱用罪で起訴されている。

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 人口36万人の独山県は2019年に政府が指定する「貧困県」から脱却したが、県内総生産は100億元(約1508億円)程度で、都市住民の平均可処分所得は3万3164元(約50万円)、農村部では1万1759元(約18万円)にとどまる。

 潘志立前書記は県の財政を顧みずに2億元(約30億円)の借金をして、地元の少数民族シュイ族の伝統建築を模した「水司楼」を建設。くぎを使わず木材をつなぎ合わせた高さ99.9メートル、24階建ての大型木造建物で観光客を呼び寄せようとした。

 さらに貴州省の県レベルでは初の学園都市を計画。1000ヘクタールの土地に大学10校、学生を最大10万人受け入れる計画で、約135億元(約2036億円)をつぎ込んで2013年に完成させた。

 潘志立前書記は2010年、経済的に発展した江蘇省(Jiangsu)海安市(Haian)から「優秀な幹部」として独山県に赴任した。「沿岸部の先進地域より十数年遅れている独山県を発展の道路に乗せる」と豪語し、次々とビッグプロジェクトを打ち出し、部下を従わせた。

 しかし、「水司楼」は完成前に作業員への給料が未払いとなるトラブルが発生。学園都市も構想通りに大学を誘致できず、学生も集まらなかった。

 さらに、潘志立前書記の強引な計画を実行するため、1860ヘクタールもの土地が違法収容され、10億元(約150億円)の損失が生じたことも判明。違法収容で処分された幹部は26人に達した。潘志立前書記は審判を待つ身だが、違法行為が多岐にわたり複雑なため、判決まで時間を要するという。(c)CNS-毎日経済新聞/JCM/AFPBB News