【7月28日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で今季のフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)・メキシコシティGP(Mexico City Grand Prix 2020)が中止となる失望の中、メキシコ市はサーキットの一部をドライブインシアターに変貌させた。

 雨となった26日、期間限定でドライブインシアターに改造されたアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲス(Autodromo Hermanos Rodriguez)の第4コーナーには、多くの観客が車で乗り付けた。上映作品はメキシコ映画のみで、観客は観賞を楽しむ間、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を守っていた。

 この新設の映画館は同市の文化事務局が企画したもので、敷地では415台の車が収容可能。営業は毎週日曜日と水曜日で、期間は来月19日までとなっている。

 メキシコに初めてドライブインシアターが到来したのは1950年代にさかのぼるが、その後は徐々に人気が低迷して消え去っていった。企画の責任者は、「パンデミックの影響で『新しい日常』が求められている中で、ドライブインシアターには素晴らしい可能性がある」と述べた。

 このサーキットが別の目的のために姿を変えるのは今回が初めてではなく、長らく国内最大の音楽フェスティバルなどが開催されている。また、今回のウイルス大流行では、感染者を受け入れるための一時的な医療施設としても使用されている。

 人口約1億2700万人のメキシコでは、新型コロナウイルスの死者数が世界で4番目に多い4万3000人以上に上っており、感染者数も世界6位の39万人を超えている。(c)AFP