【7月28日 AFP】2700年前の印影が先週、中東エルサレム(Jerusalem)で多数見つかった。古代ユダ(Judah)王国における税の徴収など、統治に関する希少な情報をもたらす発見だ。

 エルサレムを中心としていたユダ王国は、紀元前約940年から紀元前586年まで続き、バビロニアのネブカドネザル(Nebuchadnezzar)王によって滅ぼされた。

 イスラエル考古学庁(IAA)の発掘調査チームは今回、エルサレム旧市街(Old City)から数キロ離れた現在の西エルサレム(West Jerusalem)のアロナ(Arona)地区で、古代の切石積み壁の一部が残る屋敷群の遺構を発見した。

 この遺跡から出土した遺物の中には、壊れた粘土製のつぼの取っ手120個あまりも含まれていた。ここにヘブライ語で「王の所有物」を示す印影があった。

 IAAの発掘を指揮したネリア・サピル(Neria Sapir)氏によると、その他、当時のユダ王国の役人や経済にとって重要な資産家だったと推定される人物の名前の印影も見つかっているという。名前はヘブライ語で示されていた。

 IAAは、今回の発見を「イスラエルで発見された印影の最大規模で最も重要な収集例の一つ」と評している。

 ユダ王国の税は農産品の形で徴収されていたと考えられているため、今回の遺跡は「農産物の集積・貯蔵施設としての機能を果たしていた」可能性が高いと、サピル氏は指摘する。

 特徴ある構造や古代エルサレムに近接していること、発見された印影の数と種類を考え合わせた結果、IAAはこの遺跡が税徴収施設跡だと結論付けた。

 オリーブ油や果実酒が入っていたと思われるつぼは、王のために徴収され、後に各国の指導者らに配られた。その中には当時この地域全体に勢力を広げていたアッシリア帝国(Assyrian Empire)の指導者らも含まれていた。

 エルサレムに近接する戦略的立地にあることを考えると、見つかった遺跡は行政上の拠点としては理にかなっており、また遺跡で発見された印影の豊富さからも、その重要性が見て取れる。

 映像は22日撮影。(c)AFP