【7月28日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は27日、新型コロナウイルスのワクチン原薬を製造する富士フイルム(Fujifilm)の現地子会社を視察し、「米国の科学的才能を総動員して」新型コロナを打ち負かすと強調した。

 トランプ氏は依然収まらない新型コロナ流行を封じ込めると同時に、11月の米大統領選へ向けてぐらつく再選への望みを復活させるため、新型コロナワクチンの早期開発に期待を寄せている。

 数時間前にはトランプ政権で国家安全保障を担当するロバート・オブライエン(Robert O'Brien)大統領補佐官が、新型コロナ検査で陽性反応だったことも判明していた。

 トランプ氏は南部ノースカロライナ州モリスビル(Morrisville)にある富士フイルム子会社「フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(Fujifilm Diosynth Biotechnologies)」を視察し、報道陣に「米国の科学的才能を総動員して、このウイルスに勝利する」と語った。

 同社は、米政府が主導する数十億ドル(数千億円)規模の新型コロナワクチン開発計画「ワープ・スピード作戦(Operation Warp Speed)」の一環として、米バイオテクノロジー企業ノババックス(Novavax)が開発するワクチン候補の原薬の大量製造を請け負っている。この計画では大手製薬企業の開発・製造を支援し、2021年1月までに3億回分の新型コロナワクチンを供給することを目標としている。

 米国は世界の国々の中で最も新型コロナによる被害が大きく、感染者数は420万人を超え、死者数は15万人近くに上っている。

 だがマーク・メドウズ(Mark Meadows)大統領首席補佐官は26日、米ABCに対し、「最終的にこれを克服するのは、マスクでも、経済活動の停止でもない。米国の創意工夫が生み出す治療法やワクチンによって、克服できることを期待している」と述べた。

 米国は「ワープ・スピード作戦」の下で3月以降、新型コロナワクチン開発のために63億ドル(約6600億円)以上を費やしてきた。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する薬剤を「世界的な公共財」とすることを呼び掛けてきた欧州の指導者たちとは異なり、トランプ政権はこの計画で米国民のためのワクチン調達を優先することを公然と宣言している。

 新型コロナワクチンの開発では、英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)と中国企業2社、米バイオ医薬ベンチャーのモデルナ(Moderna)などが先行しており、モデルナは27日に臨床試験の最終段階を開始した。(c)AFP/Sebastian Smith