【7月28日 AFP】カタール・オリンピック委員会(QOC)は27日、2032年夏季五輪の招致を目指す考えを表明した。しかし、同国では夏季に焼けつくような高温に達することや、過去の国際的なスポーツ大会で空席が目立っていたことなどの問題が懸念される。

【写真】世界陸上で問題噴出… サッカーW杯へ不安高まる カタール

 2032年の五輪は、すでにインドやオーストラリア、中国が立候補へ興味を示しているほか、韓国と北朝鮮が共催を目指すともいわれているなど、乱立模様となっている。

 2014年に変更された五輪の開催地選定に関する規則では、大会に関心がある各国の都市は、「継続的な対話(Continuous Dialogue)」に加わるための申請を行うことになっている。カタールはAFPの取材に対して、スイス・ローザンヌ(Lausanne)の国際オリンピック委員会(IOC)に必要な書類を提出したと明らかにした。

 カタールはこれまでにも、10月開催を提示して2016年と2020年大会の招致に乗り出していたが、どちらも落選した。

 石油大国のカタールはアラビア砂漠(Arabian Desert)に接しており、夏季の気温は50度にも上がることがある。その高温多湿な気候は、昨年の第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)のロードレースで大きな問題となった。

 気候の問題で大会は9月下旬から10月上旬にかけて行われ、マラソンと競歩は真夜中に実施された。それでも湿度は73パーセント、気温は33度にも達し、女子マラソンの選手や、ランナーたちが倒れたり呼吸困難になったりするケースが相次いだことから、冬季以外にカタールで屋外のスポーツイベントを開催するのが適切かどうか疑問視する声も出ている。

 また、昨年の世界陸上において競技面以外で最も批判を浴びたと思われるのは、開幕直後の数日間はスタジアムがほぼ空席になっていたことで、カタールで2022年に予定されているサッカーW杯(2022 World Cup)や他のスポーツ大会における観客動員数への懸念が浮上している。

 カタールが招致に成功すれば、中東では史上初の五輪開催となる。(c)AFP/Gregory WALTON