【7月27日 AFP】タイで、エナジードリンク大手「レッドブル(Red Bull)」の創始者の孫が警察官をひき逃げして死亡させたものの、訴追が見送られたことを受け、警察は27日、内部捜査を開始した。事件をめぐっては、富裕層の刑事免責との見方が広がり、怒りの声が上がっていた。

 レッドブル共同創始者の孫で富豪のウォラユット・ユーウィッタヤー(Vorayuth Yoovidhya)容疑者は、2012年に首都バンコクで高級車のフェラーリ(Ferrari)を運転中に警察官をひき逃げし、死亡させたとみられていた。

 ウォラユット容疑者はユーウィッタヤー家の巨額の財産の相続人の一人。24日になって、同容疑者に対するあらゆる容疑が先月取り下げられていたと報道されると、事件に世間の厳しい目が改めて向けられた。

 市民は、自国で二重基準の恩恵を受けているとみられる超富裕層の例としてウォラユット容疑者をやり玉に挙げ、ソーシャルメディア上で怒りを噴出させた。

 週末にはツイッター(Twitter)に批判の投稿が相次ぎ、「#BoycottRedBull(レッドブルをボイコットせよの意)」などのハッシュタグがトレンド入りしたことから、警察は「捜査チームを設置した」と方針転換を発表。

 15日間の内部捜査で「この事件が警察の手続きに従って処理されたかどうか見極めるため、事実を突き止め、全国民に透明性と正義を示す」と明言した。

 当初警察は、最高検察庁から訴追見送りを通知する文書を受け取ったとして、その決定を擁護していた。(c)AFP