■「白人化」政策

 政府や奴隷所有者らの行いはアフリカ系の人々の遺伝的特徴にも多大な影響を与えた。

 米大陸に連れてこられ奴隷となった人々の60%以上が男性だったという事実にもかかわらず、遺伝子データを比較すると、米大陸全体の現代の遺伝子プールにおけるアフリカ女性の関与が偏って強いことが明らかになった。その多くは、白人男性が奴隷化されたアフリカ女性をレイプしたことや、子どもをたくさん産めば奴隷状態から解放するという約束のような性的搾取が原因とされる。

 しかも、この偏りは米国よりも、大西洋の航海で生き残った奴隷の70%が下船した中南米でいっそう顕著なことが示された。一方、米国では奴隷所有者が奴隷同士の結婚を促し、その子どもたちに次の世代の奴隷労働力を形成させていた。

 だが、ブラジルやキューバなどの国々では1900年代に政府が移民受け入れ政策を実施し、このときアフリカ系女性が白人男性と結婚した。「ブランケアメント(白人化)」と呼ばれるこうした政策は、「白いことを理想とし、それを目指して黒人を浄化する」ことを目的としていた。(c)AFP/Ivan Couronne