【7月27日 AFP】(更新)米各地では25日夜から26日朝にかけ、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が治安対策として主要都市に派遣する連邦職員を増やすと発表したことに抗議するデモが行われ、警察との衝突に発展した。テキサス州では発砲により1人が死亡した。

 米国では、5月にミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で非武装の黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警官に首を膝で押さえつけられ死亡した事件をきっかけに、人種差別と警察の残虐行為に抗議するデモが続いている。

 再選を目指す11月の大統領選で苦戦するトランプ氏は、「法と秩序」を選挙運動の柱としているが、大都市の市長らは、民主党出身者を中心に、この方針に固く抵抗している。

 シカゴのローリ・ライトフット(Lori Lightfoot)市長は米CNNのニュース番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン(State of the Union)」で、「われわれは連邦部隊が市内に入ることを認めない」と言明。「匿名の捜査官が路上から人々を連れ去り、人権を侵害して拘束することを、われわれは容認しない」と述べた。

 週末の抗議デモは、テキサス州オースティン(Austin)、ケンタッキー州ルイビル(Louisville)、ニューヨーク、ネブラスカ州オマハ(Omaha)、カリフォルニア州のオークランド(Oakland)とロサンゼルス、バージニア州リッチモンド(Richmond)などで行われた。

 オースティンでは25日夜、繁華街でのデモの最中に発砲があり、男性1人が死亡した。地元紙が報じた目撃者の話によると、デモが行われていた通りに男1人の乗った車が突っ込んできたため、群衆が叫びながら車を包囲。ライフル銃を手にしたデモ参加者の男性が車に近づいたところ、車内の男が窓から銃を突き出してこの男性に向け数発撃ち、猛スピードで走り去ったという。警察によれば、発砲した男はその後、身柄を拘束され取り調べを受けている。

 ワシントン州シアトル(Seattle)では、デモ隊が夜間に暴徒化して少年拘置所の建設現場に放火し、45人が逮捕された。

 オレゴン州ポートランド(Portland)では、25日に平和的に始まったデモが一部で次第に過激化し、連邦裁判所の周囲に設置されたフェンスを引き倒そうとしたため26日未明、警察と連邦捜査官が催涙弾を使用し、強制的にデモを解散させた。(c)AFP/Jason Redmond