【7月26日 AFP】新型コロナウイルスの影響で延期されていた中国スーパーリーグ(1部)が、25日に5か月遅れで開幕し、パンデミック(世界的な大流行)の発生源とされる武漢(Wuhan)市をホームとする武漢卓爾(Wuhan Zall)が勝利を収めた。

 リーグが2都市での集中開催に変更となる中、オレンジと白のホームカラーのウエアを着て蘇州(Suzhou)市の無観客のスタジアムに姿を現した武漢卓爾の選手は、国民への感謝と「感染症と闘う英雄」への賛辞が書かれた横断幕を手に、対戦相手の青島黄海(Qingdao Huanghai)の選手と同じグループに入った各チームの主将が拍手を送る花道を通って入場した。

 試合前には、スタジアム全体で1分間の黙とうをささげ、大型ビジョンには黒地に白の文字で「新型肺炎の犠牲となった烈士と国を愛する人々を深く悼む」というメッセージが表示された。その後、両チームの選手とコーチングスタッフ、スタンドに散った他チームの選手らは、武漢から訪れた白衣を着た医師と看護師の一団に敬意を表した。

 人口約1100万人の武漢で、1月から10週間にわたる厳しいロックダウン(都市封鎖)が敷かれる中、武漢卓爾は難しいプレシーズンを強いられた。その間、チームはホセ・ゴンサレス(Jose Gonzalez)監督の母国スペインで立ち往生し、帰国後も南部での隔離期間を経て、4月にようやく104日ぶりにホームへ帰還した。

 試合は、武漢卓爾がオウンゴールと劉雲(Yun Liu)の得点で昇格組の青島黄海から2-0の勝利を収め、大型ビジョンにはリモート観戦するファンの喜びに沸く姿も映し出された。

 1月に就任したゴンサレス監督は試合後、「われわれは7か月間、一つの目標のために働いてきた。それはファンと武漢市のみなさんに、少なくとも最初の試合は勝利を喜んでもらうことだ」と話した。

「それがわれわれの責任で、選手は町とファンのためにも、きょうは勝たなくてはならないことを意識していた」「きょうの90分間は、われわれが抱える問題を忘れられたのではないかと思う」

 大連(Dalian)市で行われた広州恒大(Guangzhou Evergrande FC)と上海申花(Shanghai Shenhua)の開幕戦では、ファビオ・カンナヴァーロ(Fabio Cannavaro)監督率いる前年王者の広州が、中国FAカップ(Chinese FA Cup 2019)王者の上海申花を2-0で下した。中国代表の韋世豪(Wei Shihao、ウェイ・シーハオ)が2ゴールを挙げた。(c)AFP/Peter STEBBINGS