【7月25日 AFP】元女子フィギュアスケーターの于書然(Shuran Yu、ユ・シュラン)さんが、現役時代に中国の練習場でコーチから暴行を加えられたり侮辱的な言葉を浴びせられたりするなど、身体的および精神的な虐待行為を受けていたと告白した。

 最近、アスリートが虐待の被害を訴えるケースが続いている中、出身地の中国を練習拠点としながらシンガポールの選手として国際大会に出場していた19歳の于さんも新たにその一人となり、22日に自身のインスタグラム(Instagram)アカウントで不当に扱われたときの詳細を明らかにした。

 2017年の世界選手権(ISU World Figure Skating Championships 2017)に出場した実績を持つ于さんは、コーチから「のろま」「でぶ」「ばか」「役立たず」などの言葉で罵倒されたほか、「11歳のときに身体的虐待が始まった」と明かすと、プラスチック製のエッジカバーを使ってたたかれたときの様子をつづった。

「私がちょっとしたミスをすると、コーチはいつも怒って手を差し出すように求めてきた」「特にひどい日は、立て続けに10回たたかれて皮がすりむけるほどだった」

 さらにコーチからスケート靴のエッジですねを蹴られ、「蹴られて血が出てしまっても私は振り返って練習を続行し、また怒らせないように足は引きずらなかった」という于さんは、身体的虐待について、「私がシニア大会に出場し始めたことから収まってきた。それでも、言葉による虐待や精神的な攻撃は続いた。それがない日は思い出せない」と続けた。

 現在は競技生活から退いている于さんは、シンガポールの代表選手という特別な立場によって、練習拠点の中国における「虐待の文化」を告発することができたと話すと、「体操やフィギュアスケートなどの芸術スポーツには毒がまん延している」「そのことを話す必要がある」と訴えた。

「私の話が公表されてある程度の認知や怒りにつながり、こうした経験のある人々の助けになるなら、非常に大きな価値がある」

 于さんの告白を受けて、シンガポールの政府機関である「Sport Singapore」は24日、「ジェシカ(于さん)が海外での競技生活でつらい目に遭っていたと知り、ショックを受けている」と述べ、シンガポール・アイススケート協会(SISA) の関係者と連携して于さんを支援していく意向を明らかにした。(c)AFP