【7月24日 AFP】呼気を調べることによって、30秒で新型コロナウイルスの感染の有無を判定できる呼気検査器の開発が進んでいる。開発を手掛けるイスラエル企業ナノセント(NanoScent)は、パンデミック(世界的な大流行)のさなかに日常を取り戻す助けになる「最先端」技術だとうたっている。

 同社によると、イスラエル国内で実施された大規模試験では、生きたウイルスの存在を85%の精度で判定できた。数か月以内に当局の承認を得られる見通しだという。

 同社のオレン・ガブリエリー(Oren Gavriely)最高経営責任者(CEO)はAFPの取材に対し、この呼気分析キットは臨床検査に代わるものではなく、人々が「日常生活に戻り、いつも通りの行動をする自信」を持てるよう手助けする大量スクリーニングツールだと説明した。

 検査はまず、検査員のスマートフォンに表示された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への暴露や症状に関するいくつかの簡単な質問に答えることから始まる。

 その後、検査対象者が鼻から空気を吸い、息を止め、片方の鼻の穴をふさぎ、もう片方の穴に差し入れたチューブから「エア・トラップ」と呼ばれる小さな袋に息を吐き出す。チューブを四角い小型の機器「においリーダー」に差し込むと、袋の中の呼気がこの機器に吸い込まれ、数秒後に、スマートフォンの画面に陽性か陰性かが表示される仕組み。

 ガブリエリー氏はAFPに対し、検査はコンサートや病院の入り口、航空業界での使用を想定していると述べた。既に欧州のある大規模スポーツ大会で商業化に向けた試験が行われているという。

 同氏は結果が陽性だった場合、陽性者に対し自動的に臨床検査を行うようにすべきだとしている。

 検査費用は1回10ドル(約1100円)以下になる予定。

 この検査キットの開発にあたっては、イスラエル国防省の研究開発部門が協力した。同部門責任者ダニエル・ゴールド(Daniel Gold)氏は先日、迅速な検査はパンデミックとの闘いにおいて「状況を一変させるもの」になるとAFPに話した。(c)AFP/Jonah Mandel