【7月24日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で大会の開催が危ぶまれている中、延期になった2020年東京五輪の1年前セレモニーが23日、ほぼ空席の国立競技場(Japan National Stadium)で静かに行われた。

 本来ならちょうど大勢のアスリートとファンでにぎやかになっていたはずの東京で、主催者は1年後の大会に向けた式典を執り行った。現在東京では新型コロナウイルスの感染が拡大していることから、観客のスタジアムへの立ち入りは禁じられた。

 セレモニーには競泳女子のスター選手で白血病と闘っている池江璃花子(Rikako Ikee)が登場し、大会へ向けて準備を進めていたアスリートに対し、自身の闘病生活を交えながら応援のメッセージを送った。

 池江は闇に包まれたスタジアムに立ち、聖火がともされたローズゴールドのランタンを掲げると、「単なる1年の延期ではなく、『プラスワン』と考える」「世界中のアスリートと、アスリートから勇気をもらっているすべての人のために、1年後のきょうこの場所で希望の炎が輝いていてほしい」と語りかけた。

「世の中がこんな大変な時期に、スポーツの話をすること自体、否定的な声があることもよく分かります」「ただ一方で思うのは、逆境からはい上がっていくときには、どうしても希望の力が必要だということです。希望が遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても前を向いて頑張れる」

 新型コロナウイルスの本格的な大流行で世界各国でロックダウン(都市封鎖)となり、選手のトレーニングに大きな支障が出たり予選やテスト大会の中止を余儀なくされたりする中で、東京五輪は3月に延期が決まった。

 その後、多くの国ではロックダウンが緩和されているが、他の国では依然として感染が拡大していたり、当局が第2波を警告したりしている。同日には東京でも新規感染者数が過去最高の366人に上り、小池百合子(Yuriko Koike)知事が都民に対して今週末の4連休は外出を自粛するように呼び掛けた。(c)AFP/Sara HUSSEIN