【7月24日 AFP】米国で、中国人民解放軍(PLA)との関係を隠して米国査証(ビザ)を取得した疑いを掛けられている中国人研究員が、在サンフランシスコ中国総領事館に避難していることが分かった。中国政府は23日、研究員に対する容疑について、「あからさまな政治的迫害」と非難した。

 20日に米カリフォルニア州の裁判所に提出された文書によると、カリフォルニア大学デービス校(University of California, Davis)のがん治療研究者、唐娟(Tang Juan)容疑者は昨年のビザ申請時、民間医療官としてPLAに所属していた事実を隠したとされる。

 裁判所に提出された文書は、同じくPLAとの関係が疑われている研究者、宋晨(Song Chen)容疑者のビザ不正取得容疑をめぐるもの。その中で、唐容疑者は先月20日に米連邦捜査局(FBI)から聴取を受けた後、在サンフランシスコ中国総領事館に逃れたとされている。

 米当局はこれまでにも、PLAや中国共産党との関係を隠して米国ビザを申請したとして、国内に滞在する中国人研究員を逮捕してきた。米中間ではこのところ、貿易・軍事・外交面での緊張が激化。米国務省は22日、中国政府がスパイ活動や知的財産の侵害を行っているとして、テキサス州ヒューストン(Houston)にある中国総領事館の閉鎖命令を出した。

 中国外務省の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は23日、唐容疑者について現在公開できる情報はないとした上で、米政府が「米国の中国人学生や学者の監視や嫌がらせ、さらには恣意(しい)的な逮捕にまで及び続け、推定有罪に基づき中国人学者を訴追している」と非難。「これはあからさまな政治的迫害だ」と述べた。(c)AFP/Paul HANDLEY