【7月31日 AFP】性差別的な振る舞い、不公平な扱い、無視される訴え。仏ゲーム開発・販売大手ユービーアイソフト(Ubisoft)が世界最大のゲームスタジオとうたう、同社のカナダ・モントリオール開発スタジオの従業員らが、セクハラ問題で揺れる同グループの「恐怖の風土」について語った。

 匿名でAFPの書面による取材に応じた元女性従業員(Aさん)は、同社の代表作「ファークライ(Far Cry)」シリーズに関わる中で、2回の燃え尽き症候群と精神的・性的ハラスメントや侮辱を経験したこと、人事部が全く自分の話を聞こうとしなかったことを明かした。

 Aさんは、赤れんが造りのモントリオール・スタジオで、このFPS(主人公視点のシューティング)ゲームの開発に数年間携わった。

 3000人を抱える巨大スタジオで最も有害なチームとAさんが表現する職場で、Aさんは自身の容姿や精神状態に対してコメントされることに耐えなければならなかった。上司から、昇進の可能性が危険にさらされる不適切な申し入れも複数回あったという。

「恐怖の風土」は非常に悪質で、Aさんは転職したにもかかわらず、自身のキャリアへの影響をいまだに懸念している。

「私たちのような一介のアーティストが制作責任者から身を守ろうとする時、私たちの声が聞き入れられるのはほとんど不可能に近い」とAさんは述べた。

 Aさんのコメントは、こうした証言がまずビデオゲーム業界で、その後、よりユービーアイソフトに特化してソーシャルメディア上に出現し始めた6月下旬以降、AFPが入手し裏を取った多数のコメントと呼応している。

 世界で1万8000人を雇用し、制作チームの2割が女性であるユービーアイソフトは、イヴ・ギルモ(Yves Guillemot)最高経営責任者(CEO)が「企業風土において大きな変化」を約束するプレスリリースを発表し、再出発を誓った。