【7月23日 AFP】タヒアさんはチュニジアから、シリアにいる孫の成長をメッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」を通じて見守ってきた。タヒアさんの息子は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員の一人だった。

 タヒアさんは3人の孫を抱きしめる日を心待ちにしているが、孫たちは内戦で荒廃したシリアの避難民キャンプから出られない状態が続いている。

「私たちには孫がいて、ただ世話をしたいだけ。紛争中の貧困がまん延し、誰も目を向けてくれないような場所にはいてほしくない、それだけだ」とタヒアさんは語る。

 AFPが取材した他の人々と同様、タヒアさんも孫への報復を恐れ、姓を明かさなかった。

 3歳の孫娘と、5歳と6歳の孫息子らがチュニジアに帰還できるように、タヒアさんは3年間、政府や非政府組織(NGO)に働きかけてきた。

 孫たちの父親は2012年にシリアに向かい、ISの戦闘員となり、殺された。

 タヒアさんによると、一番上の孫は頭部のけがの治療が必要だ。また、孫のうち2人は十分な治療が受けられず亡くなったという。

 孫たちは14歳になる前に結婚したシリア人の母親とともに、トルコとシリアの国境にある避難民キャンプで暮らしている。

 2011年以降のシリア、イラク、リビアのISの外国人構成員としては、チュニジア人が最多だ。チュニジア当局によれば、3000人近くのチュニジア人がISに参加するため国を離れたという。

 このような家族と連絡を取り合っているチュニジアの人権団体「オブザバトリー・オブ・ライツ・アンド・フリーダムス(Observatory of Rights and Freedoms)」によると、シリアには104人の子どもがおり、そのほとんどが避難民キャンプにいる。うち75%は、シリアで生まれた6歳未満の子どもだという。

 リビアにも36人の子どもがおり、民兵組織に拘束されているか、赤新月社(Red Crescent)が世話をしている。