【7月22日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は21日、新型コロナウイルスに関するホワイトハウス(White House)での公式会見を約3か月ぶりに開いた。

 トランプ氏は4月、新型ウイルス患者の治療法として家庭用消毒液を注射してはどうかと提案して冷笑を浴び、コロナに関する定例会見を中止。また、これまで新型ウイルス流行を軽視する発言を何度も繰り返してきた。

 だが、11月の米大統領選で自らの敗北が予想される世論調査の結果などを受け、新型ウイルス流行をめぐる発信の主導権を取り戻す狙いで会見を再開させたものとみられる。

 21日の会見では、トランプ氏は今までにない真剣な口調で、新型ウイルスの流行は「悪化する」恐れがあると認め、「わが国の一部の地域は本当に良くやっている」が、「あまりうまくやっていない地域もある。残念ながら恐らく状況は、良くなる前に悪くなるだろう」と述べた。

 新型ウイルスの流行により、米国ではこれまでに約14万人が死亡している。だが、国家的な対応に一貫性がなく、最近では南部から南西部で感染者数が新たに急増している。

 世論調査では、米国人の3分の2が、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)をめぐるトランプ氏の指導力に不信感を持っていることが示されている。トランプ氏のパンデミック対応が原因で、米大統領選へ向けた有権者の支持が、対立候補のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領に大きく傾いていることも示唆された。

 数か月にわたりマスク姿での写真撮影を拒否していたトランプ氏だが、今回は、ウイルスの拡散を防止するためにマスクの着用は極めて重要だとする医師らの忠告に従い、「人と人の間に距離を取ることができない場合、すべての人にマスクを着用するよう求める」と国民に呼び掛けた。

 一方、ワクチン開発については朗報を強調し「誰もが思っていたよりもずっと早く」完了すると述べた。

 トランプ氏はまた、保健当局のトップらを伴わずにこの会見に現れ、周囲を驚かせた。新型ウイルス流行の経過について予測が慎重なために、トランプ政権から攻撃されている感染症専門家で米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)氏は、会見に招かれてさえいなかった。(c)AFP/Sebastian Smith