【7月23日 People’s Daily】今年3月のある夜、中国・広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)南寧市(Nanning)で、デリバリードライバーの青年が街灯のもと試験勉強をする姿を映した動画がインターネット上で話題になった。

「私の実家は広西チワン族自治区の山奥にあり、南寧から帰るたびに大きいバスから小さいバスに乗り換え、山道を分け入っていかねばなりません」。話題になったドライバー覃劉備(Tan Liubei)さんは3年前に高等専門学校を卒業したが、専門的な技術力は足りないため、就職はなかなかうまくいかなかった。去年の11月、彼はひとまずデリバリードライバーになることを決めた。彼は今、2級建造士資格試験の準備をしており、店頭で注文を待つ15分の間に練習問題を解いていたのだという。

 現在、美団点評(Meituan Dianping)・餓了麼(Ele.me)の2大フードデリバリーサイトに登録しているデリバリードライバーは700万人を超え、その大部分が農村から来た人々だ。覃劉備さんもその一人である。

 彼と同じように、多くの人がデリバリードライバーの仕事を選ぶ理由のひとつが、仕事の時間に融通が利くことだ。統計によると、59%の美団ドライバーが毎日の配達時間を4時間に抑え、56%の餓了麼ドライバーが副業を持っており、その中の26%が小規模企業を興している。ドライバーたちは己の将来に向かって努力しながら、今の生活を確保し、生活の不安を和らげている。

 また、人によってはデリバリードライバー自体がひとつの事業である。

 42歳の劉候祥(Liu Houxiang)さんは7か月で6465件の深夜帯デリバリーを配達したという記録を達成し、餓了麼サイトのランキング全国1位となった。「私は5年間配送を続け、たとえ注文品を取りに行くのに手間がかかっても、順調に配送することを一番心掛けた」。劉候祥さんによると、大まかな方角が同じ注文を選ぶことで、食事ができる順序に従って受け取りと配達の時間を決めるという。

 今年2月、人的資源・社会保障省と国家市場監督管理局、国家統計局が合同で新しい職業を発表した。デリバリードライバーは「インターネット予約配達員」の名称で、国家職業分類事典に入れられ、デリバリードライバーが職業として認められるのに有利な状況となった。

 デリバリードライバーに対し、より良い規範と保障を整備するため、各地区・サイトは努力している。北京では配送業・デリバリー業の職業連盟が成立し、アモイ(Xiamen)ではデリバリードライバーの労働関係の政策手引が発表された。各サイトも、ドライバーの職業技能やキャリアプランなどの講習や、家庭環境に困難を抱えるドライバーへの支援を開始した。

 街中を駆け回るデリバリードライバーたちは、「インターネット+サービス業」の重要な要素である。数百万人のデリバリードライバーは家々をつなぎ、日常生活を支えるかなめとなりつつある。デリバリーサービスは忙しい生活の中で欲しいものが手に入るだけでなく、デリバリードライバー自身がより良い生活を送るための基盤ともなる。(c)People's Daily/AFPBB News