【7月22日 People’s Daily】中国・雲南省(Yunnan)南福貢県(Fugong)鹿馬登郷(Lumadeng)にある貧困扶助移住・再定住地点は、少数民族リス族(傈僳族)が多く住む地域で、ここに民族衣装加工専門合作社を設立した人物がいる。

 それが、合作社のリーダーであるツルハン(Ciluheng)さんだ。村民たちは彼を信頼し慕う。幼いころの病気の後遺症でつえをついた彼は、克己心と努力を頼りに、村民たちを連れて貧困脱出の道を突き進んできた。険しく壮麗な怒江(Salween River)の峡谷が、ツルハンさんの生まれ故郷である。貧困のため、ツルハンさんは中学校を退学した。障害のため思うように行動できず、家の中で簡単な手工芸を始めるより他になく、しかし頭の良かった彼は諦めることなく家に富をもたらす道を磨き続けた。

 建築を請け負ったことにより、ツルハンさんは人生で初めてまとまったお金を稼いだ。しかし2年後には、ツルハンさんは手っ取り早く稼げる建築の仕事を辞める。「自分だけが富んでも仕方がないと思いました。私は村の皆と一緒にやりたかったのです」

「どうしたら村民たちが技能と産業を持てるようになるのだろう?」とツルハンさんは悩み続けた。伝統的なリス族の集落には、家々で織られた布と服飾加工の手工芸があった。ツルハンさんはビジネスチャンスに気づいた――手織りの麻布自体は利潤が少ないが、服に仕立てれば市場で良い値段で売れるのだ。

 そこで、ツルハンさんは妻子とともにミシンなどの設備を整え、民族衣装のデザインを始めた。新作を出す度に評判を呼び、対応が追い付かないほどであった。

 2013年、ツルハンさんは周囲にいる機織りができる村民に呼びかけ、会社を設立した。彼の呼びかけに応え、人々が自発的に出し合った資金は100万元(約1500万円)を超えた。加工生産設備を買い、専門の生産チームを組織した。これまでに家庭で織られた布は作りが粗く、製品のバリエーションがなく、規格が不統一という欠点があったが、これも改善した。

 合作社の製品は主にリス族・ヌー族(怒族)の民族衣装が主である。顧客の需要に従い、ツルハンさんはメンバーと共に豊富な品ぞろえと新しいデザインを出し続けた。彼らの努力あって、今年、合作社は平均世帯収入が2万元(約30万円)を超えた。

 生産規模が拡大するにつれ、合作社の製品はブランド性を帯び始めた。民族衣装が大きな産業になりだしたので、合作社は自分たちのブランド商標を「紗蘭顔」(Shalanyan)とした。現在、合作社は毎年4万着の服を製作する生産能力を持つようになり、製品は怒江州(Nujiang)の売り上げだけでなく、ミャンマー・シンガポール・タイ・日本などでも売れ、年の売り上げは370万元(約5600万円)以上になり、40戸以上の村民に富をもたらした。

「私たちのこの産業は収入が増えるだけでなく、民族の伝統服飾文化を継承することもできるのです。村民たちは仕事を通して自信がつきました」と、ツルハンさんは言う。

 最近、ツルハンさんはますます忙しくなった。福貢県に帰ってきた移民に対してミシン縫いの職業訓練をしており、リス族とヌー族の村民数十人に技術訓練を行っている。

 同時に、ツルハンさんはオンラインショッピングのサイトを作るので忙しい。中国の民族衣装専門のオンラインショッピングモールである。「発展のために、将来のことも考えなければならないです」とツルハンさんは言う。(c)People's Daily/AFPBB News