【7月21日 AFP】黒人選手としてラグビー南アフリカ代表史上初の主将を務め、昨年のラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)で母国の優勝に貢献したFLシヤ・コリシ(Siya Kolisi)が、現在もアパルトヘイト(人種隔離政策)の遺産を引きずる同国で人種差別に立ち向かうことを呼び掛けている。

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 現在29歳のコリシは19日、自身のインスタグラム(Instagram)に約7分の動画を投稿し、これまでは「怖かった」からこの話題を避けてきたと明かした。しかし、世界で最も社会が不平等な国の一つである南アフリカで、「恐れを抱いて沈黙している時期」は終わったと強調した。

「自分たち全員が変わり、これまで多くの人が闘って命を落としてきた南アフリカで実際に生き始める時が来た」「自分たちがこれを変える世代にならなければならない。今は2020年で、全員が団結する時だ。人種差別と闘って打ち勝つには、これが唯一の方法だ」

「われわれの命が大切になるまで、大切にされている命なんて何もない。われわれは皆が大切な存在であり、本当に黒人の命は大切なんだ」「自分は人々に対してこの難しい議論を促していく」

 少数派の白人によるアパルトヘイトが1994年に撤廃されて以降、南アフリカのスポーツ界、特にラグビーやクリケットは人種の分断に悩まされてきた。

「黒人居住区(タウンシップ)で育ったから、自分の命が大切だなんて感じていなかった」と明かしたコリシは、タウンシップから文化的なハンディキャップや言葉の壁を乗り越え、スプリングボクス(Springboks、南アフリカ代表の愛称)を昨年のW杯優勝に導くまでの厳しい旅路を動画の中で思い起こした。

「代表から追い出されたり、違う目で見られたりするのを恐れていたから」、長い間この問題に向き合ってこなかった自分は、「リーダーとして失格」だったと感じたと告白。それでも、「これらの問題に向き合い始めていかなければならない。そうしなければ、これからやって来る次世代の子どもたちが自分と同じ目に遭ってしまうからだ」「次の世代は自分たちのような目に遭ってはならない」と訴えた。(c)AFP