【7月21日 AFP】英国は20日、中国による香港への国家安全維持法導入に抗議し、同市との犯罪人引き渡し条約を停止した。緊迫した対中関係がさらに悪化する恐れがある。

 ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相は議会で、「政府は引き渡し条約を即時かつ無期限に停止することを決定した」と表明。さらに、中国本土に対して30年間にわたり科してきた武器禁輸措置を香港にも適用すると発表した。

 米国、カナダ、オーストラリアも中国に対して同様の強硬措置を取っており、英国による引き渡し条約の停止は広く予想されていた。中国側はラーブ氏の発表に先立ち、英国は外交政策の重大な誤りを犯しているとし、報復の可能性を警告していた。

 ラーブ氏は、中国の「並外れた変化」と世界情勢に果たしてきた重要な役割を認め、中国とは建設的な関係を望んでいると言明。しかし、国安法の導入により「引き渡し条約を支えていた基本的な前提が大きく変わった」と述べ、特定の事件の裁判を中国本土で行うことを可能にした規定を特に問題視した。

 英国はこれまで、英国海外市民(BNO)旅券(パスポート)を持つ香港市民が英市民権を取得する上での規則を緩和。これを受け、中国は対抗措置を取る可能性を示している。

 英国はさらに、ウイグル人などの少数民族に対する中国の政策を批判しているほか、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)製品の排除も表明している。(c)AFP/Phil HAZLEWOOD