【7月21日 CNS】中国政府は2021年1月1日から、環境保護のため長江(Yangtze River)流域の重点水域で10年間の禁漁を実施する。実質、全面的な禁漁措置で、30万人の漁師が転職する「前代未聞」の措置となる。今年1月から先行して始まった水生生物保護区332か所での禁漁は全体的に順調だが、一部では違法漁業が続いているという。

 農業農村部の于康震(Yu Kangzhen)副部長は15日の定例会見で、「禁漁と漁師の転職は、悪化する長江の生態環境を改善する重要な措置だ」と強調した。この政策で10万隻以上の漁船が操業停止となり、30万人の漁師の職種転換と生活保障が必要なため、于氏は「前代未聞の規模となる」と話した。

 于氏によると、今年1月以降ですでに8万隻の漁船が停止し、10万人の漁師への転職支援や生活保障を段階的に行っている。上海市、江西省(Jiangxi)、雲南省(Yunnan)などは計画を繰り上げて実行している。

 一方で于氏は「地域によって廃船措置や漁師の転職支援の進み具合にばらつきがある上、違法漁業が顕著な地域もある。違法行為の組織化、分業化の傾向もみられ、計画通りに禁漁を実現するのは難しい面もある」と明らかにした。

 農業農村部は今後、関連部門や長江沿岸の自治体と連携し、廃船措置や漁師の転職、補償を積極的に進めると同時に、違法漁業や漁獲物の違法販売の取り締まりを強化していく。(c)CNS/JCM/AFPBB News