【7月20日 AFP】世界30機関の宇宙物理学者ら数百人が協力して完成させた、史上最大の宇宙の3D地図が20日、公開された。銀河やクエーサー(準恒星状天体)など400万個以上の天体の解析結果を示したものだ。

「宇宙の膨張の完全な物語」を構築できたと、カナダ・オンタリオ(Ontario)州にあるウォータールー大学(University of Waterloo)のウィル・パーシバル(Will Percival)氏は述べた。20年以上をかけたプロジェクトで、「これまでで最も広範囲の宇宙時間について、最も正確な膨張史の測定」ができたという。

 3D地図の作成には、「スローンデジタルスカイサーベイ(SDSS)」プロジェクトの最新の観測結果が大きく寄与している。「拡張バリオン振動分光サーベイ(eBOSS)」と名付けられた観測プロジェクトでは、米ニューメキシコ州に設置された光学望遠鏡で6年間にわたって集められたデータが用いられた。

 2012年のeBOSS立ち上げに貢献したスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のジャンポール・クナイブ(Jean-Paul Kneib)氏は、プロジェクトの目標は「宇宙の生涯を通じて最も完全な3D宇宙地図」を作ることだったと語った。

 科学者らは今回初めて、「遠い宇宙の物質分布を示す天体や、活発に恒星やクエーサーを形成している銀河」を地図に描いた。3D地図には、宇宙が誕生してから38万年後までの宇宙の構造をより正確に定義する物質と超空洞のフィラメントが示されている。

 地図からは、宇宙の膨張がある時点から加速し始め、現在も加速し続けていることが明らかになった。これはアルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)の一般相対性理論と合致し、未解明の「ダークエネルギー」という目に見えない要素が介在しているためだと研究チームは見ている。

 また、eBOSSの観測結果を過去の初期宇宙の研究と比較したところ、膨張率の推定値に矛盾があることも分かった。

 映像は公開された宇宙の3D地図、スイス連邦工科大学ローザンヌ校提供。(c)AFP