【7月17日 AFP】中国で6月から続いている豪雨による洪水で、長江(Yangtze River)流域の広範囲で冠水が発生している。濁流による堤防の決壊、家屋の浸水といった被害も出ており、多くの住民がボートやいかだに乗って避難している。中国政府によると豪雨による死者・行方不明者は少なくとも141人に上り、7月だけでも1500万人近い人々が避難を余儀なくされている。経済的損失も甚大だという。

 400以上の河川で水位が警戒レベルを超え、一部の河川では過去最高の水位を記録。当局によると、記録的水位が確認された期間には長江流域において1961年以降で最大の平均雨量が記録された。

 長江流域では毎年、夏季の降雨と上流に位置するチベット(Tibet)高原の氷河が解け出すことにより洪水が起きている。地元当局などは特に、大きな被害が出ている江西(Jiangxi)省にある中国最大の淡水湖、ハ陽湖(Poyang Lake)の水位が歴史的な高さに達していることに懸念を強めている。

 近いうちに状況が劇的に改善する見込みはない。乱開発や軽率なダムや堤防の建造といったずさんな治水政策が原因で、夏季の洪水の脅威はここ数十年にわたり悪化していると批判する声も出ている。(c)AFP