【7月17日 AFP】台湾当局は17日、香港に置いている外交代表機構「台北経済文化弁事処」の代表が、「不必要な政治的障害」のため帰国したことを明らかにした。台湾メディアは、「一つの中国」を支持する文書への署名を拒んだためだと報じている。

 台湾は、香港の民主派デモ支持や香港人の移住受け入れ専門窓口の開設などをめぐり、中国政府の怒りを買っている。

 さらに、先月施行された「香港国家安全維持法」では、香港に拠点を置く台湾の政治団体に職員名簿の提出と資産状況の報告を求めており、中台関係は緊張が高まっている。

 こうした中、台湾の対中政策をつかさどる行政院大陸委員会(MAC)の邱垂正(Chiu Chui-cheng)氏は、実質的な台湾大使に相当する台北駐香港経済文化弁事処の高銘村(Kao Ming-tsun)代理所長について、「台湾への帰国を余儀なくされた。香港側が合意に反して不必要な政治的障害を設けたためだ」と述べた。

 台湾メディア「上報(Up Media)」によると、高氏は就労ビザ更新の際に、台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」政策への支持を表明する文書への署名を拒否したという。

 高氏の帰国の決断について知っている台湾政府筋は、AFPの取材に対し、香港当局が用意した文書への署名を高氏は拒んだと話した。

 台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は「一つの中国」の受け入れを拒否し、台湾は事実上の独立国家だとの立場を取っている。中国政府はこれに激怒し、台湾は自国の領土だとして統一を目指すと宣言。そのためには武力行使も辞さない構えを見せている。(c)AFP