【7月17日 AFP】地球上の誰もがブラジル人や米国人のようにステーキや乳製品を消費すると、温暖化対策の目標を達成するためには地球がさらに五つ必要だとする報告書が16日、発表された。20か国・地域(G20)の食料消費による二酸化炭素(CO2)排出量を比較した初めての報告書だ。

 ノルウェーの首都オスロを拠点する非営利団体EATが発表した報告書「Diet for a Better Future(よりよい未来のための食事)」によると、G20のうち、国民1人当たりの食料消費によるCO2排出量が、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」の掲げる気温上昇幅を1.5度に抑える目標を達成できるほど低かったのは、インドとインドネシアだけだった。

 中国では、継続的な経済成長が食肉と輸入食品の消費を押し上げており、同国の食事パターンを全世界の人々が取ると、CO2排出量は1.5度目標を達成できる限界値の2倍近くに達することが分かった。日本も同様に2倍近い。

 気候変動を加速させるCO2排出の4分の1は、世界の全人口77億人のための食料生産によるものだ。そのうちの約40%は家畜の生産と食品廃棄物から発生しており、残りはほぼコメの生産、肥料の使用、商品作物の生産のための土地利用転換と森林伐採によるものだ。

 今回の報告書の主執筆者で、世界自然保護基金(WWF)の世界食料部門を率いるブレント・ローケン(Brent Loken)氏はAFPの取材に、「現在、一握りの国の人々が他国の犠牲の上に、消費すべきでない食料をあまりにも多く取っている」と指摘した。

 これら少数の比較的裕福な国々におけるバランスを欠いた食事は「気候、健康、経済にとって有害」だとローケン氏は言う。