【7月17日 AFP】ローマ教皇庁(バチカン)は16日、司祭や教皇庁幹部向けに、聖職者による児童性的虐待の被害に関する訴えを受けた際の対処方法をまとめた手引きを発表した。詳細な手続きの策定はフランシスコ教皇(Pope Francis)が要請していた。

 手引きには、未成年者が受けたとされる被害の詳細を記入するフォームなどが含まれている。新たな教令は含まれないが、ローマ・カトリック教会が数十年にわたり直面してきた児童性的虐待スキャンダルへの対処法をめぐる既存のルールを明確化するためのものとされている。教皇庁は今回の手引きを「バージョン1.0」としており、必要に応じて改定していく意向だ。

 アルゼンチン出身のフランシスコ教皇は、ローマ・カトリック教会での児童性的虐待とその隠ぺいへの対策を自身の在位中の優先事項の一つとしており、昨年2月には性的虐待対策に関する特別会議を開き、「事案浮上時の主な各段階に当局がとるべき措置を示す実用的なハンドブック」の作成を要請。昨年5月には、教会内での性的虐待を知った聖職者に対して通報を義務付ける画期的な教令も発表した。

 しかし、同教会で性的虐待対策を統括する専門家は今年6月、新型コロナウイルスの流行により世界の優先事項が変わり、未成年者への虐待のリスクが高まったと指摘している。(c)AFP