【7月18日 東方新報】新型コロナウイルスが世界経済に打撃を与え続けている中、中国では消費市場が回復しつつある。とりわけ、インターネットを通じた「ライブ販売」と、注文した商品を消費者に届ける宅配事業の結びつきが中国経済に希望をもたらしている。

 中国政府が9日に発表したデータによると、今年上半期の宅配事業の平均成長率は22.5%に達し、コロナ禍を乗り越えて昨年の平均水準に近づいている。中国は電子商取引が世界で最も発展している国の1つ。「ライブ販売+宅配」という新しい経済モデルが急速に発展し、消費の新たな原動力となっている。

 阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング、Alibaba Group Holding)傘下のネットショッピングサイト「淘宝直藩(Taobao Live)」は2019年に数百万人の雇用をもたらした。 2020年は春節(旧正月、Lunar New Year)連休後、1か月でライブ販売業界の求人数が前年比83.9%増加し、雇用者数は132.5%増加した。ライブ販売は直接の雇用を創出するうえ、消費を刺激し、企業を活性化させることで、間接的にも雇用を生み出している。

 新型コロナが拡大した今年の前半は直接の商取引が難しくなり、ライブ販売を含むオンラインビジネスが急速に広まった。オンラインの共同オフィス、遠隔診療、オンライン教育、通話アプリ「微信(ウィーチャット、WeChat)」モールなどの新しいスタイルが生まれた。また、新型コロナ対策をしながら日常生活やビジネスをする際、第5世代移動通信システム(5G)やクラウドコンピューター、ビッグデータ、人工知能(AI)などの技術が大きくサポートし、中国の経済成長に常にエネルギーを注入している。

 新型コロナが収束しつつある中、中国の消費市場は回復の兆しを見せている。今年1~5月、全国で商品のオンライン売上高は前年比11.5%増となった。5月の非製造業商業活動指数は前月比0.4ポイント増の53.6%で、特に卸・小売業界の商業活動指数は3か月連続でPMI指数50を上回った。

 消費分野は長年にわたり中国の経済成長の主な原動力となっている。 2019年では中国の経済成長に対する消費の貢献率は57.8%に達し、GDP成長率を3.5ポイント押し上げ、6年連続で経済成長を最も支えている。コロナ禍が広まり、消費が中国の経済成長を引き続きけん引するかどうか国際社会から懸念が出ていたが、見事に払拭(ふっしょく)した。

 中国の消費市場の回復は世界経済にも希望をもたらしている。タイ副首相兼商務長官の朱林(Jurin Laksanawisit)氏は6月上旬、中国のeコマースプラットフォームでライブ販売を行い、タイの果物を中国の消費者に紹介した。1回のライブ販売で5000個近いドリアンと2万個のココナツが売れる勢いだった。

 中国は11月初旬に第3回中国国際輸入博覧会を開催する予定で、6月初めの時点で博覧会の商業展示面積の90%は契約済みとなった。人気のある展示スペースは契約できない状態で、高い注目が集まっている。(c)東方新報/AFPBB News