【8月15日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響が各国で出ているなか、ノルウェーでは葬儀業者が苦しい立場に立たされることとなり、国からの支援が不可欠となっている。

 公開されている情報によると、7月中旬の時点で国に救済を要請した葬儀社は6社に上るとされる。新型コロナウイルスへの初期対応が奏功した影響で死亡率が全般に低下し、執り行われる葬儀の件数が急減。結果、経営の悪化につながったのだという。

 3世代にわたり死者の弔いをなりわいにしてきたランデ家にとって、このような事態を経験するのは初めてだ。

 同国南部で家族経営事業の社長を務めるエリック・ランデ(Erik Lande)さんは、「新型コロナウイルスへの措置は、新型ウイルスだけでなく、他のウイルスの勢いも弱めることとなった」とAFPの取材で語り、「その結果、対コロナの措置が講じられなければ(現時点で)すでに死去していると考えられる高齢者や病院患者が数多くいる」と続けた。

 ランデさんの会社では普段、毎月約30件の葬儀を執り行っている。だが、部分的なロックダウン(都市封鎖)措置が取られると数週間もしないうちにその件数は10件を下回り、しかも新型コロナウイルス感染症で命を落とした人の葬儀は皆無となった。

 賃料や保険料などの固定費を支払うことが難しくなったため、ランデさんの葬儀社は約3万2000クローネ(約38万円)の経済支援を受けた。

 ノルウェーでは3月12日に新型コロナウイルス対策の詳細が明らかになった。アーナ・ソールバルグ(Erna Solberg)首相が「最も強力で最も干渉度の高い措置」と称した対策には、学校やバー、その他多数の公共施設の閉鎖、スポーツや文化イベントの禁止、海外渡航の制限が含まれていた。

 その後、ノルウェーではウイルスの封じ込めに成功し、これらの措置のほぼすべてが解除された。