【8月9日 AFP】インドのチャンダナ・ヒラン(Chandana Hiran)さん(22)は子どもの頃、見知らぬ人から肌の色を白くするよう勧められたものだった。現在、学生となったヒランさんは、美白クリーム反対運動を率いている。

 英国・オランダ系の食品・日用品大手ユニリーバ(Unilever)の有名な美白クリーム「フェア・アンド・ラブリー(Fair & Lovely、色白で美しい)」に反対するオンライン署名運動を立ち上げたヒランさんは、この商品は「もし肌の色が浅黒ければ、人生において何も達成できないと伝えている」とAFPに語った。

 ヒランさんの運動は、ユニリーバが「フェア・アンド・ラブリー」の商品名から「色白」を削除したことで最初の勝利を収めた。仏化粧品大手ロレアル(L'Oreal)や米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も同様の措置を取った。

 世界各地に広がった反人種差別運動「黒人の命は大切(Black Lives Matter)」は、アジアの人々の白い肌への執着を浮き彫りにした。

 多国籍企業は美、成功、愛は色白の人だけのものだというメッセージを宣伝することで、美白クリームや洗顔料、さらにはデリケートゾーンの漂白化粧水などの販売で長らく利益を得てきた。

 ブルームバーグ(Bloomberg)によると、ユニリーバのインドでの「フェア・アンド・ラブリー」の販売額は昨年は5億ドル(約530億円)に上った。

「黒人の命は大切」運動によって人種差別への怒りが欧米各地で高まる今、ユニリーバなどの企業は「より多様な美の描写を率先して称賛したい」と述べている。

 インドでは、浅黒い肌に対する偏見「カラーリズム」がまん延している。

 英国の植民地主義がカラーリズムを助長した一方で、こうした偏見は古くから続くカースト制度に根ざしていると専門家は指摘する。

「高カースト階級は、低カースト階級よりも色が白いという思い込みがある」と同国南部の都市ベンガルール(Bengaluru、旧称バンガロール)のキリスト大学(Christ University)の社会学者スパルナ・カル(Suparna Kar)氏はAFPに語った。