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【7月16日 AFP】ロシア検察当局は15日、同国ウラル(Urals)地方にある旧鉱山から酸が大量に流出している問題を受け、本来処理するはずの企業に対して捜査を開始したことを明らかにした。

 ある旅行系インスタグラマーが先週、かつて硫化鉱を産出していた銅鉱山の近くの村からドローンで撮影した写真と動画を投稿した。同インスタグラマーは一連の投稿で、この旧鉱山は「浸水し、今やそこから酸性の川が流れ出て、周囲を汚染している」と記載し、これらの投稿がインターネット上で話題となっていた。投稿された動画では、森林地帯でオレンジ色に染まった川が四方八方に広がり流れていく様子も捉えられている。

 検察の広報官は、旧鉱山から流出している酸性の水が規則にのっとり処理されているかどうか確証を得るため、専門家がサンプルを取る予定だと話した。

 一方、環境問題専門家のアンドレイ・ボレゴフ(Andrei Volegov)氏はこの状況について昨年検察当局に警告していた。ボレゴフ氏が公表した書簡によると、汚染水の処理を担当する企業は、適切な資金提供がなされず、酸を中和するための石灰を十分に購入できないと回答していた。

 地元メディアによると、旧鉱山があるスベルドロフスク(Sverdlovsk)州政府は、同鉱山の閉鎖を求めていたが、ロシア政府はそこにまだ貴重な資源があるとの理由でこれを拒否していたという。

 先月シベリア(Siberia)地方で発生した、大量の軽油が川に流出した事故を受けて、ロシアでは産業汚染に対する注目度が高まっている。同国では企業に対してしばしばわずかな罰金が科せられるのみで、官僚主義によりこうした有害廃棄物は長年放置されてしまう可能性がある。

 映像は6月27日撮影。(c)AFP