【7月15日 AFP】(図解追加)2100年の世界人口は88億人となり、現時点で国連(UN)が算出した予測よりも21億人少なくなるとする論文が、14日に英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された。出生率の低下と人口の高齢化により、世界の勢力図が一新されると予測している。

 論文を発表した国際的な研究チームによると、21世紀の終わりまでに195か国中183か国で、移民の流入が無い場合に、人口維持に必要な数値を下回るという。

 日本、スペイン、イタリア、タイ、ポルトガル、韓国、ポーランドを含む20か国以上では2100年までに人口が半分以上減少し、中国の人口も今後80年間で現在の14億人から7億3000万人に減ると予想された。

 一方でサハラ砂漠以南のアフリカの人口は、現在の3倍の約30億人に増加する。2100年にはナイジェリアの人口は約8億人に増え、インドの11億人に次いで2位となる。

■新たな多極化世界

 出生率の低下と高齢化により労働年齢人口が激減することは、多くの国にとって大きな課題となる。例えば、中国の国内総生産(GDP)は2050年までに米国を抜いて世界1位となるが、2100年までには2位に戻ると予測される。

 インドのGDPは3位に上昇し、経済規模では日本、ドイツ、フランス、英国が上位10か国にとどまる。インドネシアが12位につけ、ナイジェリアは現在の28位から10位以内に入るとされる。

 ランセット誌のリチャード・ホートン(Richard Horton)編集長は、「21世紀の終わりまでには世界は多極的になり、インド、ナイジェリア、中国、米国が覇権を握る」とし、今回の論文は「地政学的な勢力の抜本的な変化」のあらましを述べているとコメントした。

 これまで世界人口の予測に関しては、国連が事実上独占的な地位を築いていた。国連は世界の人口について、2030年に85億人、2050年に97億人、2100年に109億人になると予測している。

 ランセット誌に掲載された論文との違いは、出生率に関する見通しにある。国連は、現在出生率が低い国で、時間とともに合計特殊出生率は約1.8に増加すると予測している。

 一方で論文執筆者は、「女性がもっと教育を受け、出産関連の公共医療サービスを受けるようになると、女性1人当たりが産む子どもの数は1.5人未満になると分析している」と説明した。(c)AFP/Marlowe HOOD