【7月15日 AFP】米国で美容師2人が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染してもマスク着用で仕事を続けていたが、陽性が確認されるまでの数日間に接触した顧客139人は感染を免れたことが分かった。米疾病対策センター(CDC)が14日、発表した。

 CDCは報告書で、新型ウイルスの感染拡大を遅らせる手段として社会全体で、マスクなどで顔を覆うことの重要性が強調される実例だと述べている。

 新型ウイルスに感染した美容師2人は、ミズーリ州スプリングフィールド(Springfield)の美容院に勤務していた。美容師Aさんは、5月12日に呼吸器症状が表れ、18日に新型ウイルスの検査を受けた。この時点で、医療機関から自主隔離するよう助言を受けたがこれを無視し、20日に陽性の結果が出るまで仕事を続けていた。

 Aさんと接触のあった美容師Bさんは5月15日に症状が表れたが、Aさんの陽性結果が出る同20日まで同様に仕事を続けた。2日後に、Bさんも陽性が判明した。

 美容院は消毒作業のため3日間閉鎖され、残りのスタッフも2週間隔離された。グリーン(Green)郡の保健当局は陽性の結果が出た美容師2人の接触者を追跡し、顧客計139人を特定した。

 2人の美容師は顧客と接触する際に、Aさんは二重ガーゼマスクを、Bさんは二重ガーゼマスクか不織布マスクを着用していた。だが、Aさんに症状が出てからも2人は接触し、接客をしてない時は両者ともマスクをしていなかった。

 顧客139人は全員2週間の経過観察が行われた。顧客のうち67人は当局の要請に応じ検査をしたが、陽性反応を示した人はゼロだった。また、検査を受けなかった残りの顧客へは、当局が2週間にわたりテキストメッセージで健康状態を尋ねたが、症状を報告した人はいなかった。

 顧客の年齢は21~93歳で、平均52歳、性別はほぼ均等だった。また、美容師らと接触した時間は15~45分で、圧倒的多数がマスクを着用していた。その大部分はガーゼマスクと不織布マスクを、約5%はN95マスクを着けていた。

 CDCは報告書で「新型ウイルスの今後の波の規模と影響を軽減するため、公共の場で顔を覆うことを義務付ける政策を広範に採用することが検討されるべきである」と結論付けている。(c)AFP