【7月15日 AFP】デービッド・スティルウェル(David Stilwell)米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は14日、南シナ海(South China Sea)で活動する中国国営企業を、英国の植民地経営を担った東インド会社(British East India Company)に例え批判した。

 米国は南シナ海の領有権問題をめぐり中国政府への強硬姿勢を強めており、前日にはマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官が、中国による領有権主張の大半は違法だと明言していた。

 ポンペオ長官の側近であるスティルウェル氏は米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)で、中国の国営企業による掘削装置や調査船、漁船の派遣が急増していることを批判。中国海洋石油(シノック、CNOOC)などの国営企業は、他国を威嚇するための「衝角」(船首に取り付けられる体当たり攻撃用の器具)として機能していると言明した。

 スティルウェル氏は「どんな社会においても、市民は商業企業と外国国家権力の手先との違いを知る権利がある」と指摘。「これらの国営企業は、現代の東インド会社に相当する」と述べた。

 英国の東インド会社は、紅茶や綿花、香辛料などの貿易を装って、インド亜大陸の大部分を掌握。英国はその後、19世紀半ばに正式な植民地化を実施した。東インド会社は、英国による1843年の香港植民地化につながった中国へのアヘン密輸にも関与していたことから、東インド会社への言及は特に危険をはらんだものとなる。(c)AFP