【7月14日 東方新報】中国では7日から8日、新型コロナウイルス感染症の影響で一か月遅れの大学統一入試が行われ、今年も例年のようにカンニング対策が展開された。入試直前の公安部の発表によれば、2020年以降、全国でインターネットや無線でのカンニングなどの犯罪に対する集中的取り締まりの結果、約30件のカンニングを摘発、容疑者200人以上を逮捕したという。

 各地の公安機関のインターネット安全部門は、試験開始までに徹底して組織的カンニング犯罪組織の集中摘発を行った。カンニング犯罪組織のやり方は、まずインターネットで不正受験者を募集、高額な料金を請求して、カンニングサービスを提供する。

 例えば、遼寧省(Liaoning)公安当局はこのほど、こうした「試験関連」犯罪集団をターゲットに集中取り締まりを行い、 20人以上の容疑者を逮捕し、カンニング用の無線など不正機器を多数押収した。安徽省(Anhui)と河南省(Henan)の公安当局も、高等専門学校や大学、芸術系学校の合同試験期間に、積極的に取り締まりを行ったところ、やはり20人以上を逮捕した。天津市(Tianjin)、江蘇省(Jiangsu)、広東省(Guangdong)などの公安当局も無線によるカンニング機械・機器の製造拠点の摘発に乗り出し、多くの拠点を壊滅させ、盗聴器や盗撮専門機器など1000セットを押収したという。

 このほか、ネット上でウソの入試答案を2万元(約30万円)で販売する詐欺やデマによって、受験生に誤った試験対策を誘導するケースがあり、公安当局はこうした偽試験情報を散布するネットの個人メディアアカウントなどを法に基づき摘発、試験秩序を乱すデマ散布者として取り締まり重罰に処す方針だ。

 一方、河南省鄭州市(Zhengzhou)など一部の地域では、試験会場に入る際にマスクをつけてはならない、という規定を発表。試験場に入室したのち監督の教員がマスクを渡し、マスクをしたのちは、試験場を離れてはならないとした。これはマスクの中に、カンニング道具を隠す可能性を危惧しての対応だ。新型コロナウイルス感染症予防のために、試験会場に入る前にマスクをつけねばならない、という全国共通の指示が出ているが、それがカンニングに悪用されかねないというわけで、地域によってはこうした対応をとっている。だが、もし試験場にいる間にマスクを着けていないことで新型コロナウイルスに感染したらどうしてくれるのか、と強い懸念を示す保護者もおり、新型コロナ禍中の入試ならではの混乱も発生した。

 公安当局は、国家の教育試験中に行われるカンニング、あるいは受験生に試験の答案を提供したり、無線カンニング機材を販売したりする行為は、組織的試験カンニング罪、試験問題答案提供罪、成り代わり試験罪、試験用盗聴器盗撮機器違法生産提供罪、違法経営罪および無線通信監理秩序罪などに問われると警告。試験の安全な実施に深刻な危害を及ぼし、社会の公平正義と信用システムを破壊することであり、必ず法的に厳しい制裁を受けねばならない、としている。(c)東方新報/AFPBB News