【7月15日 CNS】中国・江蘇省(Jiangsu)蘇州市(Suzhou)は、千年の歴史・文化を生かした観光に力を入れている。国際的大都市でありながら古都の魅力が残され、「二つの顔」を持つ街として注目が集まっている。

 蘇州市南部の呉中区(Wuzhong)は、景観の美しさで知られる太湖(Taihu)に面しており、古都・蘇州の街並みを伝える「太湖古鎮」や、昔ながらの田園風景を残す「生態自然村」などがある。四季折々の花が咲き、いつの季節も果物が豊富で、湖では魚釣りを楽しめる。そんな「自然の宝庫」のような呉中区は、観光客が週末や連休をゆったり過ごすのにうってつけの場所だ。

 呉中区には、中国十大銘茶の一つといわれる緑茶「碧螺春茶」、蘇州の伝統技術「香山幇建築」、クルミなどに彫刻する伝統工芸「舟山彫刻」などの文化遺産が伝わる。

「江南第一の楼閣」と称される雕花楼は、梁(はり)や扉、調度品などありとあらゆる物に精微な彫刻が施されている。独特の彫刻品を手がける「香山舟山彫刻村」では、約3200人の従業員が4億元(約61億1404万円)超の売り上げを収めている。最近オープンした「蘇州呉中博物館」では、歴史資料や映像などを通じて、呉文化の変遷を伝えている。

 一方、国内外の多くの企業が立地している蘇州工業園区は、蘇州市の最先端地域だ。シンガポールとの共同開発で1994年に誕生して以来、蘇州の発展を象徴する地域となっている。パリの凱旋(がいせん)門のようなデザインで高さ300メートルを誇るビル「東方之門」や、ショッピングモール「蘇州中心」、センスの良さで知られる「誠品書店(Eslite)」などは園区内の人気スポットだ。

 自然との共生を意識して園区内の緑化率は45%に達しており、蘇州工業園区幹部の朱江(Zhu Jiang)氏は「国際化が進む街で、市民は快適な生活を過ごしている」と話す。「生活の中に旅行があり、旅行の中に生活がある」。そんな「蘇州スタイル」は、新しい観光のモデルとしても注目されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News