【7月14日 People’s Daily】「住宅2戸、合わせて140平方メートル。1戸に父母、もう1戸にはわが家の5人。広々として明るい住宅だ」と語るのは楊光照(Yang Guangzhao)さん。楊さん一家7人は2019年8月、地元政府の貧困者支援政策によって貴州省(Guizhou)畢節市(Bijie)七星関区(Qixingguan)柏楊林街道幸福社区に引っ越した。楊さんは引っ越しの際、不安もあったが、新しい住宅を見てほっとした。

 楊さん一家はもともと、七星関区の燕子口鎮(Yanzikou)大田村(Datian)に住んでいた。大田村は山奥にあり、定期市に行くにも3時間ほど必要だった。肉を数日間も食べられないのもよくあることだった。子どもの通学時間は50分かかった。就学前の子どもは妻が世話をするしかない。一家はトウモロコシやジャガイモの栽培で生計を立てており、年収は1万元(約15万円)に満たなかった。山では雨が多く、災害も起きやすく、生活するのが大変だった。

「地元政府の貧困者支援のおかげで私たちは無料で新しい住宅に入れ、仕事もあっせんしてもらった。現在、私と妻の年収は4万元(約60万円)ほど。父母には年金もあり、とても暮らしやすくなった」と楊さん。

 楊さんが引っ越した柏楊林街道は貴州で最大の貧困者支援居住区だ。総面積は1.13平方キロで、貧困者2万9001人が移住した。ここでは「引っ越す」という段階はすでに終わり、「快適に過ごす」という段階が始まっている。

「私たちが外で働くとき、心配なのは、老人と子どもだ」と楊さん。だが、これは、楊さんだけの心配事ではない。柏楊林街道には、60歳以上の老人が3437人、幼児が1万953人いる。身体障害者も1128人いる。

 2020年、広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)は200万元(約3000万円)の資金を用意し、柏楊林街道に老人や幼児の世話をする施設を開設した。社会福祉関係の団体がサービスを提供する。

 楊さんの80歳近い父母は毎日、自宅近くにあるこの施設で歌を歌ったり、ダンスをしたり、世間話をしたりしている。昼には施設内の食堂で昼食をとる。料金はわずか3元(約45円)。以前の家へ帰りたいなどとは言わなくなった。

 老人は介護してくれ、幼児は預かってもらえる。施設ができたあと、住民は柏楊林街道に一段と愛着をもつようになった。

 楊さん夫妻は安心して出勤できる。「高齢の父母は健康で、精神状態もいい。子どもは専門家が世話をしてくれる」と楊さん。壁に貼られている標語「新しい住宅に入り、快適な生活へ」を見ながら、「これはまさに私たちのことだ」と笑いながら話した。(c)People's Daily/AFPBB News